麻雀に学ぶビジネス

麻雀に学ぶビジネス

ビジネスパーソンの娯楽として、商談や接待の場でも昭和はよく使われてきた麻雀。今回は創業エピソードとは別に、管理人のブログとして、麻雀とビジネスの共通点や、麻雀から学べるビジネス的な知識・感覚について解説します。

サイバーエージェントの創業者である藤田晋は、「ビジネスで大事なことの非常に多くのことを麻雀を通じて学んだ」とも話しています。また、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツはポーカーで、『金持ち父さん貧乏父さん』の著者であり、実業家でもあるロバートキヨサキは、モノポリーというボードゲームからビジネスを学んだと語っています。

私はこの手のゲームが大好きなので、すべてプレイしたことがありますし、この他にも『カタンの開拓者たち』というボードゲームも、ビジネスを学ぶのに役立ったと思っています。

これらはいずれもゲームですが、その設計やゲームとして目指す勝利は市場経済に通ずるものがあります。

対戦ゲームであること

まず挙げられることは、これらは対戦ゲームであるという点です。普通に生きていれば人と「対戦」をする、つまり何かを競い合う機会はあまりありません。

運動部ならけっこうあるのですが、文化部や帰宅部だった場合、ゲームをしない人は本当に誰かと何かを競うという機会は少ないでしょう。

※受験勉強は競争にカウントしてもいいのですが、1ゲームが長すぎて、短いスパンでフィードバックを得て改善する、というサイクルを回しづらいですし、競争とはいえ、個々が答案と戦うという意味ではボウリングやダーツに近い、対戦要素の薄いゲームです。

麻雀やモノポリーは明確に「敵」がいて、その「敵」と何らかのやりとりをしながらゲームを進めていきます。

これは麻雀なら河の捨て牌からそれぞれの狙い、つまり市場環境を読んで自分がどこにポジションを取るのか、いつ勝負を仕掛けるのか、という市場との対話だったり、モノポリーやカタンにおいては、プレイヤーたちは敵同士でありながらも、互いに「交渉」をすることができます。

“対人”の対戦ゲームであること

対戦ゲームでも、対CPUのゲームと対人のゲームは全く違います。これからはどうかわかりませんが、少なくとも2024年までは多くの対CPUのゲームはプログラムによるアルゴリズム、つまり「一定の動き」をするため、プレイヤーには明確な勝ちパターンが存在します。

その中でも特にビジネス的な学びがないのは、ハードやソフトにお金を払ってプレイする対CPUのゲームです。これらは最終的にプレイヤーを楽しませることを狙って作られている、いわば接待ゴルフです。

“対人”の対戦ゲームは、明確な勝ちパターンが存在せず、相手も本気で勝ちにきます。時間をかけてレベルをあげればクリアできるRPGと異なり、時間をかけることは即ち相手にも時間を与えてしまいます。

また、明確な勝ちパターンが存在しないということは、100%の正解がない中で、自分で情報を集め、状況を見極め、決断しなければならないということです。「こういう理由で私はこの選択をする」はビジネスには必須です。

さらに、負けている側は、時には勝率の低い選択をする必要も出てきます。わかりやすい例でいえば、麻雀でオーラス、自分はダントツビリの時に、タンヤオのみやピンフのみで上がっても、自分の敗北を確定させるだけです。こういう状況では、たとえ勝率が低くでも、あがれば逆転できるだけの点数を狙いに行く必要があります。

複数人対戦のゲームであること

次に、これらのゲームは対戦ゲームの中でも敵が複数いる、複数人対戦のゲームであることです。麻雀やモノポリーを1v1でやることは基本的にはなく、3人以上のプレイヤーがそれぞれの勢力として戦います。

1v1のゲームでは、自分が得点することと、相手に失点させることは等価値です。例えばテニスや卓球ならサービスエースを取っても相手が凡ミスをしても同じ1点だし、カードゲームなら攻撃用のカードは1~2枚のフィニッシャーだけで、残りはすべて妨害カードというデッキも成立します。

これに対し、麻雀やモノポリー、カタンといった複数人対戦のゲームでは、相手の妨害をすることの価値が低くなりがちです。自分のリソースを使って他のプレイヤーの妨害をすれば、リソースを使った自分と、妨害を受けたプレイヤーだけが不利になって、その他のプレイヤーが漁夫の利を得ることになります。

つまり、考えなしに妨害行為ばかりしていると、4人の中で自分はどんどん不利になっていきます。

例えば麻雀なら、特定のプレイヤーに和了らせないようにするために、ソイツの河(捨て牌)だけを執拗にチェックして他を疎かにしたり、ソイツの和了り牌を囲うように手牌を組んでいたら、ソイツと自分だけが和了りづらくなったり、意識を向けていなかった他のプレイヤーに振り込んでしまったりします。

ビジネスも複数人対戦のゲームなので、特定の誰かを妨害しているだけでは、自分とその相手を不利にしているだけです。

例えば、Youtuberをやろうとしているのに、嫌いなチャンネルの妨害をするためにアカウントを100個作って低評価を付け続けても、自分のチャンネルの再生数は上がりません。

複数人対戦のゲームでは、誰かの足を引っ張ることよりも、自分がライバルの中で抜きんでる方向にリソースを割くことが重要であり、ライバルへの妨害は基本的にはコスパの悪い行為です。

※ただし例外はある。市場が自分を含めた寡占状態かつ新規参入が難しい場合のうちのさらにごく一部など短期的に。

他のプレイヤーとの協力や交渉・取り引きが可能

他のプレイヤーとの協力や交渉・取り引きが可能な点も複数人対戦ゲームの特徴です。

1v1のゲームでは自分以外のプレイヤーは1人しか居らず、必ず敵なので、協力や交渉が生まれることは基本的にはありません。

しかし複数人対戦のゲームでは、1位のプレイヤーの独走を阻止するために2位~4位のプレイヤーが協力することがあり得るし、場合によっては1位のプレイヤーがうまく逃げ切るために他のプレイヤーを騙すといったシチュエーションもありえます。

例えば、麻雀でいえば1位のプレイヤーの待ち牌を見抜いたら、それとなく他のプレイヤーに伝えることで、1位のプレイヤーが和了りにくくする、などです。他のプレイヤーが1位に振り込みにくくなれば、自分と1位との差も開きにくくなるし、そちらに意識が行くぶん自然と自分への警戒意識が下がるので、そのぶん自分も和了りやすくなります。

カタンの場合なら1位のプレイヤーの上がりが見えてきたらみんなで盗賊を置きまくる、などです。これを食らわないために、1位のプレイヤーは自分が1位だとバレにくいよう盤面を作り、口頭でもそう誘導する必要が出てきます。

ビジネスでは交渉や取り引きは基本にして奥義みたいなもので、頻繁に使うし重要性も高いです。物を売ること自体がそもそも取り引きですし、セールストークや条件交渉などは交渉術そのもの。

また、その場に複数人いる場合はいかに自分に有利なムードを作るか、という空気を作る能力も必要です。

相対順位が付くこと

麻雀では何万点持っていても3位では負けです。ルールによっては(ウマありなら)3位や4位はゲーム終了後に、順位に基づいた点数を1位や2位にさらに取られることになります。

これは市場経済も同じです。金持ちかどうか、裕福かどうかは相対的なものであって、たとえ何億円持っていたとしても、それが平均ならそれは金持ちではありません。

また、経済では名目・実質という言葉があります。賃金が2倍になっても、物価も2倍になっていたら実質はゼロ成長です。

バレなきゃあイカサマじゃあねえんだぜ

これは究極的ではありますが、麻雀などのボードゲーム・カードゲームにはイカサマがつきものです。例えば同じ麻雀牌をもう1セット買っておいて、牌のいくつかを袖口に仕込んで置き、必要に応じて取り出す、といったことも物理的には可能です。

実際、友人との娯楽としての麻雀でこれをやられたら、気付けない人は多いでしょう。

それ以外にも麻雀には数多くの有名なイカサマがいくつもあります。多くは牌のすり替えですが、自分の牌を揃えることにいっぱいいっぱいになってしまっていたら、気付けないかもしれません。

そしてイカサマはその場で指摘できなければ”通って”しまいます。相手との対戦中に目を離さないことの重要性が学べます。

また、同じ麻雀牌をもう1セット用意されてしまうのは、相手の家で麻雀をしているからです。場所を自分の家に設定し、実際にプレイする時まで麻雀牌を見せなければ、スペアを用意されることはありません。

これは相手の土俵で戦ってしまうとどんな罠が仕掛けられているかわからず、不利であるということです。

特定の友人とばかりプレイしていればこういった心配は少ないですが、色々な相手とゲームをすれば、イカサマの方法やそれに対する防御策を学ぶことができます。

まとめ

思い付きでざっと書いてみましたが、いかがだったでしょうか。

これは今私がパッと思いついたものだけで、この他にも麻雀など複数人対戦のボードゲームから学べるビジネスの要素はたくさんあります。

もちろん、これから起業しようという人に麻雀にハマっているヒマはありませんが、「なんとなくいつか起業してみたいな」くらいの状態であれば、麻雀をプレイしてみるのもいい経験になるかもしれません。

人との交渉や対戦など、対人要素のあるゲームは真剣にやれば、多少は経験値になると私は考えています。

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